長崎の 丸山遊女 には、日本人客のみを相手にする日本行、外国人を主に相手にする唐人行・阿蘭陀行の別があり、 延宝 年間（年年）の記録では、遊女人中、日本行の遊女は10人のみで、格としては吉原の太夫と同様、丸山では最上ランクであった [8] 。日本行の遊女は 茶道 ・ 華道 ・ 香道 を修め、歌舞音曲や読み書きにも優れ、容姿も良いことが条件だったが、唐人行からの昇進や、遊女屋との縁故関係でなれる場合もあった [8] 。 オランダ人 を相手にする阿蘭陀行遊女が最下層であったが、丸山では、日常は遊廓の外で暮らしながら名義のみを遊女屋に登録し、 中国人 ・オランダ人の接待のみを専門に行なう「仕切り遊女・名付け遊女」と呼ばれる遊女があり、世間に遊女奉公を知られることなく金銭を得ることができることから、自ら登録する者がほとんどで、幕末には登録料を支払ってまでなる者もあった [8] 。また、丸山では、年に遊女の懐妊に関する法令が出され、外国人との子を懐妊した場合は届け出をしなければならず、父親となる外国人には養育の義務が生じ、父親帰国後の出産の場合は遊女屋に養育の義務があるとされた [8] 。母子が唐人屋敷や出島で暮らすことも許されたが、父親が帰国する場合、子供を連れて行くことは禁じられた [8] 。.